ARガイドースマートグラスを使用した観劇ガイド

摘要

スマートグラスは，AR (Augmented Reality：拡張現実）を自然な人間の行動の中で体験できるデバイスである.メガネのようにかけて使用するので，手に機材を持ったり，視界を遮られたりすることなく実際に見ている光景に情報を重ねて表示することが可能である.スマートグラスを使つたARにはさまざまな用途が考えられるが,現在比較的容易に入手できる機器での表現力や利用シーンを考慮し，最初は劇場などでの観劇に利用することにした.なかでも能楽などの伝統芸能にはニーズがあるのではないかとみて，能楽シテ方の公益財団法人宝生会の協力を得，2016年から実験を重ねた.その結果，2018年から本格的に東京•水道橋の宝生能楽堂に導入され，現在も継続的に利用されている.最初の実証実験から本格的な運用を開始するまでの経緯を紹介する.