我が国の研究炉・試験炉の状況

摘要

我が国の研究炉・試験炉（以下「研究炉」と略す）として、ここでは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律で定義される発電を行わない（または動力としない）原子炉を取り上げることとする。したがって、発電を行う「もんじゅ」やすでに解体された動力試験炉（JPDR）などは含まれない。この定義に基づく研究炉は我が国に23基あり、2011年3月を以て停止する東大の弥生炉も除くと、うち14基が現在稼働中であり、残りは廃止措置となっている。我が国の研究炉の位置と稼働状況を図1に示すが、この図で、稼働中の研究炉は●印、廃止されたものは×印で示されている。稼働中の研究炉の臨界時期及び概要を表1にまとめているが、これらの研究炉の多くが日本原子力研究開発機構（以下「原子力機構」と記す）に所属しており、大学等所有の研究炉は小規模のものがほとんどで、その多くがすでに廃止されている。また、原子力機構にある高温工学試験炉HTTRや高速実験炉「常陽」は、新型や次世代の発電用原子炉開発のための実証実験を目的とした原子炉として位置づけられ、多様な試験研究が行えるよう汎用性を持っている他の研究炉とは利用形態も性格も異なっている。