建築地下工事のリスク防止から学ぶこと山留め壁からの出水

摘要

地下工事の重大事故の予防には，事前の十分な計画と実施施工における確実な日常管理が必須である。さらに，万がーの予期し得ない突発的な出水に対しても，対応策をあらかじめ定めておき，危機管理を徹底することが，被害を最小限に食い止めるために重要なポイントとなる。特に，10mを超す掘削工事では，一般に地下水の水圧も大きくなり，山留め壁の欠損部などからの出水が発生した際の出水量も多く，十分な対策が必要である。特に，土砂流入を伴う大規模な出水であった場合は，周辺地盤の著しい沈下を引き起こし，道路はもとより給排水設備やガス配管など，埋設都市設備に損傷を与えるおそれもあり，その危険性を常に意識すべきである。