上方1面開口熱対流型換気: 高断熱高気密住宅の涼房

摘要

京都•町家の夏の熱環境調査の機会を通じ，次のような知見を得ることができた。①深い軒の出に簾を下げ，裏庭の濃い樹木で日射を遮り，庭や床下地盤面の蓄冷効果を高めていた。②厚い戸境(防火)壁に加え，通りと裏には蔵や土蔵を配し，戸外の熱を入り難くしていた。③上階に，大きな気積の物置•予備室，日中に使わない使用人室を設け，日射の影響を緩和していた。⑤室上部に透かし欄間を設けて温気の滞留を防止し，裏庭，通り庭，坪庭などの上方に開放された空間を介して室内取得熱を非拡散的に排出するとともに，微風の揺らぎや夜間の低温外気を採り入れていた。