触知し体験される模型

摘要

それは視覚的に遭遇した対象にたいして誘発される、触覚による認証行為。たとえば幼い子供がボールを見つけ、手を伸ばしそのボールを掴む。そのボールは子供の口へと運ばれ、前歯により質感が確認される。このような行為はごく平凡な日々の出来事でありながら、我々が抱いている触覚への信頼感を明確に示す事象である。触覚とは、身体のすべてを使って受信する信号であり、フィーリングであると考える。便宜上、私たちの生活へ大きく入り込んできたデジタル文化は、別世界の影をモニターを通して、視覚のみを通じて私たちに伝えてくる、2進法の信号によるコミニケーションである。私たちの身体が触れているのは常にマウスとキーボードだけである。両手で掴める、光を当てると影ができる、そんな実物の世界に、模型はつくられる。