未来へのおくりもの震災十年の検証復興10年、「日本のわるベき姿」は描けたか？

摘要

2021年3月、東日本大震災は発生後10年を迎え、福島の原発事故対策は継続されるが、岩手、宮城両県では「心のケア」などのー部業務を除き、インフラの整備などの復興事業は終了となる。終了とは原則としてそれまでの国による財政援助、法的保障、財政·金融支援、ならびに人的援助などが打ち切られ、被災地の自治体や住民は「自立」しなければならないということである。自治体は道路、住宅、防潮堤、学校、介護施設·病院など国の援助によってつくられたインフラの維持管理や運営は、すべて自分の負担となる。住民もこれまでの各種災害援助がなくなり、自分自身のカで生活していかなければならなくなるのである。本連載はこの新たな事態を見据えて、個別事象の分析などを踏まえ、ではこの復興10年とは一体、何であったのかということと、今後必ず発生するといわれている首都直下、南海トラフ地震、そして最近のいわば年中行事のようになってきている河川反舌し、地震や台風などなどの災害に対して、それはどのような「教訓」を与えるのかということをいわば総点検してみょうという試みである。