頼富憲三郎氏を悼む

摘要

本学会名誉会員頼富憲三郎氏は昨年12月ご逝去されました．氏は旅順工科大学航空科を卒業され，陸軍航空技術学校教官，運輸省鉄道技術研究所を経て参松工業㈱に入社されたエンジニアで，機械工学に強い澱粉科学の研究者，技術者として日本の澱粉糖化産業を常にリードしてこられました．1960年当時，我が国は北海道の馬鈴薯，南九州の甘藷から製造した澱粉の政府手持ちが30万トンに達し，生産計画，滞貨澱粉の保管料などが社会問題化した時代に，滞貨澱粉を有効利用する甘味資源の需給力強化対策が閣議承認され，日本において結晶ブドウ糖産業の育成が国家プロジェクトとして進行することになりました．この時期，氏は全国澱粉糖協同組合技術研究会の幹事として，また参松工業を代表する技術者として検討会の委員で活躍され，結晶ブドウ糖産業創生のために大きな貢献をされました．