フィルタ係数と補助変数群に対する多重確率モデリングに基づくビームフォーマ設計

摘要

本稿では，フィルタや関連する変数に対して多重の確率的な仮定を課すことで多機能なビームフォーマの設計を行う数理的な枠組みを提案する．特定の方角から到来する音のみを強調する信号処理手法としてマイクロホンアレイを用いたビームフォーミングが知られる．数理的には，ビームフォーマのフィルタは何らかのコスト関数の最適化問題を解くことで導出される．例えば，MVDR ビームフォーマは無歪制約条件のもと出力信号のパワーを最小化することで導かれる．また，MVDR で用いられたような基本的なコスト関数に付加的な制約やコスト項を追加した問題を解くことでビームフォーマの性能を改善する試みもこれまで行われてきた．