水溶性加工液のリサイクルに関する研究（リサイクルによる性能低下の抑制）

摘要

金属加工における工具寿命の延伸や加工精度の維持などを目的として切削油剤が使用される．近年は，引火性の問題がある不水溶性加工液に替わって，水溶性加工液が用いられることが多くなっている．マシニングセンタなどの自動工作機械で使用される水溶性加工液の多くは，工作機械に付属するクーラントタンクに数十から数百リットル投入されて数ヶ月にわたって循環使用される．水溶性加工液は使用に伴って水分の蒸発や潤滑油剤の混入などによって性状が変化し，防錆性の低下，発泡，腐敗などの発生によって寿命を迎えることになる．水溶性加工液の廃液処理は凝集沈殿や加熱・蒸溜による分離といった方法で行われるが，いずれもコストがかかるため，多くは焼却による熱回収が行われている．しかし，種々の添加剤などを含む水溶性加工液の廃液を焼却することは大気汚染の観点から懸念がある．また，大量に排出される廃液を処理施設に運搬する際のCO_2 排出なども環境負荷要因として無視することはできない．