W 帯を利用した固定・移動通信システムの現状及び国際標準化動向:RoF とミリ波を用いた新しい電波システム

摘要

社会のクラウド化による高速無線通信の需要が拡大する中で、室内近距離通信はIEEE802.11ad に代表されるようなGb/s 級の無線通信システムが実用化される時代を迎えている。公衆網も５G の実用化で、いずれGb/s時代が訪れると思われる。これらの背景にはCMOS 微細化による安価な半導体の動作周波数の向上とスマートホンに代表される携帯端末の普及で、誰もが高速無線通信を無意識に利用する社会構造の変化があげられる。一方で、新幹線などの高速鉄道では移動速度が300Km/h を超える環境で1000 人程度のユーザーが乗車する特殊な環境が生じ、高速な無線通信環境の実現が困難になってくる。我々はRadio over Fiber 技術とW 帯のミリ波通信を組み合わせる事で列車あたり1Gb/s 以上の伝送速度を実現する移動通信システムや、災害時の臨時設営性に優れた固定回線システムの検討を進めている。本報告では、システムのアーキテクチャと実装を進めているハードウェアの開発状況及び、関連する国際標準化動向に関して紹介する。