コンポーネント指向ディペンダブルシステム開発に向けて- 機能安全の観点からみたRTミドルウエア

摘要

人と共存する次世代サービスロボットを実現、実用化するうえで、安全性を保証できるディペンダブルなシステムをいかに実現するかが重要な課題となっている。システムの安全を確保する機能(安全関連系: Safety related system, SRS) をリスクと許容目標から構成する考え方を機能安全(Functional safety) と呼び、電気·電子·プログラマブル電子(E/E/PES: Electric/Electronic/Programable Electronic）の機能安全にに関する国際規格としてはIEC61508[1] が知られている。人と直接接触する形で利用される次世代サービスロボットは、誤作動により人間を死傷させる危険性があるため、こうしたロボットを実際に販売する際には、機能安全の考え方に基づきシステムを構成する必要がある。IEC61508 では、ソフトウエアに対して安全ライフサイクルとV 字モデルによるシステム開発、ソフトウエア作成手法(ベストプラクティス) を対象システムの安全度水準(SIL: Safety Integrity Level) に応じて適用することが求められている。これらの手法の多くは一般的ソフトウエア開発に役立つものの、ロボットシステム全般に対しては制約が強すぎたり、認証を得るために膨大な工数とコストがかかるため、ロボットを構成するすべてのソフトウエアに適用するのは現実的ではない。本稿では、次世代ロボットの機能安全ソフトウエアを効率的に開発する手法として、システムを安全関連系と非安全関連系から構成するアーキテクチャ、および安全関連系のソフトウエアをモジュール化されたソフトウエアの統合により構築する手法について検討する。