レスキューロボットづくりを通してエネルギー変換を学ぶ指導方法の開発：人力発電によるレスキューロボット動作体験から負荷概念を学ぶ指導方法の試行

摘要

現在，CO_2 排出量の問題，食料自給率と天候不順による不作の問題をはじめとして，さまざまな側面から環境に対する関心が持たれている。その中でも，エネルギーに関する問題は，最近の話題ではCO_2 排出量規制に関する国際会議などで関心が高まっているが，私たちの日常生活の在り方や，経済活動の在り方との兼ね合いや，安全性などさまざまな方面にも関連した複雑な問題であり，折り合いがなかなかつかない現実がある。このようなエネルギーの収支について大局的でダイナミックな系を，日常生活の中で実感することは非常に困難であると考えられる。一方で，小中学生がエネルギーについて実感するのは，携帯ゲーム機や携帯電話，ディジタルカメラ（デジカメ）の電源を確保する時である。電池やバッテリーを使っている場合には，残量を気にして，充電をしなければならない。電池やバッテリーを長持ちさせたいがために，AC アダプターを持ち運び，AC 電源が使える場所を探して充電しようとする。しかし，自宅以外のコンセントを勝手に使うという行為が目立つようになり，「電気窃盗（盗電）」と呼ばれる犯罪にまで発展するケースが増えて来ている。最近は仕事等でノートパソコンを外出先で使う機会が増えたこともあり，社会問題化してきている。小中学生でも，2007 年9 月に大阪府でコンビニエンスストアの屋外コンセントを無断で使用し，電気代約１円を盗hだとして中学生が書類送検をされた事例がある。以上のように，現代の生活環境からも，小中学生の身近なエネルギーは「電気エネルギー」であると考えられるが，特に小学校段階ではコンセントから電気はいつでも使えるであるとか，電池はなくなればいつでも買ってくれば補充できるといった無限に電気エネルギーを使えるという誤解をしていると捉えられる言動が少なくない。小学校理科においてはTable.1 のように４年生の単元「電気の働き」から６年生の単元「電気の利用」にかけて系統的に電気について学ぶようになっている（文科省 2008）。この流れを見ると，電気がどのようにして利用できるような形となるのかについては４年生で光電池の特性として，光から電気が得られることを知ることと，６年生でさまざまな発電方法を学ぶこととなっている。