転倒歴と疫学データに基づく主成分分析を用いた骨折リスクの要因抽出

摘要

近年, 医学の進歩と保健衛生環境の充実により、日本の平均寿命は伸びつつある。その一方で、自立した生活を過ごせる期間である健康寿命との差が広がっている(1)。厚生労働省の調べ(2)によると、高齢者が要支援者になる原因として、骨折・転倒は14.2%、関節疾患は18.9%を占める。 一方、要支援者が要介護者になる原因として、骨折・転倒は12.0%,関節疾患は6.9%を占める。また、骨折が要介護の直接的な原因でないとしても、骨折の治療中に運動機能が低下することから、臥床時間が増え、認知症の発症リスクが上がる。認知症を発症すると多くの場合で要介護になる。このように、骨折は直接的のみならず間接的にも要介護を引き起こす原因となる。そのため、高齢者が骨折リスクの上昇を早期に気づき、保健行動につなげて予防することが重要である。