ディーゼルエンジンを用いたカーボンナノチューブの合成機構 および生成機構に関する考察

摘要

カーボンナノチューブ(CNT)はその優れた物性によ り広範な応用が期待されている。化学気相成長法に よって CNT 生産の商業化が実現しているが、さらなる 製造コストの削減が求められている。近年、安価な設 備費やスケールアップの容易さなどの利点を有する火 炎合成法による CNT 製造が注目されている1) 。当研究 室では n-ドデカン/エタノール混合燃料を用い、 ディーゼルエンジン内の燃焼反応を利用して CNT が合 成可能であることを示した2) 。また n-ドデカン以外に、 ラウリン酸メチル(エステル)、1-デカノール(アル コール)などを使用しても CNT が合成できることを示 してきた。しかし CNT に寄与する前駆体の考察やエン ジン内における CNT 生成経路に関する考察は十分に行 われてこなかった。そこで本研究では、エンジン排ガ ス分析、CHEMKIN-PRO による燃焼反応シミュレーショ ンおよびCNT成長のモデル化を通してCNT生成経路に 対する考察を試みた。