ペルチェ廃材に含まれる各元素の高効率分離回収技術の研究開発

摘要

ペルチェ素子は，ペルチェ効果を利用して電流印加により温度制御ができる半導体素子である．この素子 を用いる装置の小型化が容易であることや，モーターを必要としないため騒音や振動が発生しないことから， PC のCPU 冷却，車載用小型冷蔵庫や医療用冷却装置などに利用されている．現在製品として実用化されて いるペルチェ素子に含まれる主要元素であるBi，Sb およびTe はレアメタル31 種に含まれる我が国の戦略元 素であるが[1]，[2]，現行これらの元素をペルチェ素子から効率よく分離回収できる技術は開発されていない． 昨今のガソリン車からの電気自動車へのモータリゼーションシフトに伴い，今後ペルチェ素子の需要は拡大 することが予想されている点を考慮すると，ペルチェ素子製造に必要なBi，Sb およびTe の安定確保のため にペルチェ廃材からBi，Sb およびTe を選択的に回収できる技術の開発は必要不可欠である．本研究では， ペルチェ廃材中の各元素を選択的に回収できる技術システムの確立を最終目標とした研究を推進した．