人工ピンを添加したYBCO超電導薄膜の臨界電流密度の膜厚依存性

摘要

高磁界中での高い臨界電流密度J_cを得るために、超伝導体内にナノ技術を用いた人工ピンの導入が試みられ、優れた特性が得られつつある。一方で、高温度及び高磁界でのJ_cは、超電導層厚さの影響を受けることが知られている。さらに、線材の接合技術の向上により長尺も開発され、この線材を用いた高磁界マグネットへの利用も期待される。このようは高磁界下ではJ_cや磁化の緩和も顕著になることから、超電導体の利用環境に適した材料開発が必要である。本研究では、人工ピンを導入したYBCO薄膜の超電導層の厚さを変化させた場合のJ_c及び緩和特性の影響に注目し、J_c及び磁化の緩和特性を、SQUID磁力計を用いて測定した。これらの結果に対して磁束クリープの影響を考慮した磁束クリープ·フローモデルを用いた理論解析を行い、超電導層の厚さがJ_c及び磁化の緩和特性へ与える影響を調べた。