静圧動圧ハイブリッドティルティングパッドジャーナル軸受の静および動特性の数値解析

摘要

回転機械に多く用いられる油潤滑された動圧ジャーナル軸受は，軸の回転により自然に油膜を形成し，その油膜で軸を支持している．形成される軸受油膜の厚さは軸回転速度に依存することから，ジャーナル軸受の使用する軸回転速度には適切な範囲が存在する．一般に，低回転速度では十分な厚さの油膜厚さが薄くなり，焼付きに対する裕度が低下する．特に数rpm程度の超低回転速度では実質的に油膜が確保できないことから使用に適さず，静圧軸受の使用が検討される．一方，高回転速度では軸受油膜の連成ばね項に起因したオイルホイップ，オイルホワールと呼ばれる自励振動が発生する．これらの振動を避けるためには，軸受面形状を変化させ安定限界速度を高めることが必要であり，そのために2 円弧軸受等に代表される多円弧軸受等が用いられる．しかし軸の回転速度が非常に高い場合，この対策では不十分となり，自励振動の発生原因である連成ばね項が実質的にゼロと考えられるティルティングパッドジャーナル軸受（TPJB）が用いることで自励振動を防止する．したがって，超低回転速度や超高回転速度などの特殊な条件では，それに適した軸受選択をすることで，使用範囲を広くすることが可能である．しかし，一つの軸受でこれらの範囲を全てカバーすることは非常に難しいのが現状である．