電力小売事業者間の均衡分析への適用を目的とした均衡制約付均衡問題の定式化と解法の提案

摘要

競争環境下における電力小売市場を経済的かつ適切に運用していくためには市場における多数の経済主体の行動を適切に表現するモデルを構築し，分析することが重要である。先行研究[1]ではプール市場において線形制約(hole)を追加することでNash 均衡解を導出している。また先行研究[2]では寡占発電市場における経済主体の合理的行動を均衡制約付均衡問題（EPEC: equilibrium problem with equilibriumconstraints）として定式化し，Nash 均衡解を導出している。本研究では自由化後の電力小売市場における小売事業者間の均衡分析を目的としたEPEC の定式化と解法の提案を行うことを目的とする。需要家が小売事業者を選択するための連続変数を導入した2 レベル数理計画問題として競争環境下における電力小売取引の定式化を提案し，このモデルを混合整数線形計画問題に変形することで商用ソルバを用いて効率的に求解可能とする解法の提案を行う。