サービス工学に基づくサービスCAD システムの構築（第83報）公共性を有するサービスの顧客要求重要度決定法

摘要

サービス工学におけるサービス設計では，対象となる顧客カテゴリを特定し，その代表となる人物のモデルとしてペルソナを作成することで，特定カテゴリの顧客の要求を特定·抽出している．しかしながら，公共性を有するサービスの場合，様々なカテゴリに属する，多様な価値観を持つ顧客がサービス受給対象であり，全ての顧客の多様な要求を同時に満たすことは一般に困難である．この時，対象となる顧客の不満を最小限に抑えつつ，かつ可能な限り多くの顧客を満足させるようにサービスを設計することが必要となるが，特定カテゴリに着目する従来のサービス設計手法では，上記の問題を扱うことが困難である．以上のような背景から，本研究では複数の顧客カテゴリを意識したサービス設計を可能にすることを最終的な目的と定め，本報ではその足掛かりとして，集団意思決定法の一つである集団意思決定ストレス法を用いて，公共性を有するサービスにおける多様な顧客の不満の最小化に着目した顧客の要求集約手法を提案する．