Co-Cr-W系超硬合金三次元積層造形とその微細組織および機械的特性

摘要

Co-Cr-W系超瞭合金のひとつであるステライト6は肉盛溶接材料として広く利用されるが，非常に脆性的であるため，熱膨張率や炭素量の差が著しい材料への施工時に割れやすいことが知られている.また，肉盛溶接はノズルから照射した粉体を熱源により溶融，堆積するため，細管内部や複椎形状への施工が困難である。そこで,我々のグループではステライト6に対して3次元積層造形技術（AM:Additive Manufacturing)を適用することで，本材料のみで耐摩耗製品を作製するプロセスを提案した。本プロセスの確立により，金属種の違いによる割れの防止に加え,耐摩耗製品の製造工程の簡略化および量産化が期待できる。耐摩耗製品は，高密度なほど良好な耐摩耗性を示すため，高密度で割れのない積層造形物を作製し，その微細構造と機械的特性の関係性を評価することを目的とした。特に，積層造形では多重熱サイクルの影響が懸念されるため，本研究では隣り合うピードの境界部（以後，オーパーラップ部と記す）における微細構造を観察し，それらが積層造形物の機械的特性に及ぼす影響を評価した。