臓器灌流保存のための臓器保持台と血管を考慮した豚肝臓の数値解析

摘要

臓器移植とは臓器の機能が低下した人に他者の生体機能を有する臓器を移植し回復させる医療であり，現在医療技術の向上により期待の高い医療分野である。しかし，移植には臓器を摘出し手術するまでの時間が限られておりJその決められた許容時間を過ぎてしまうと手術することはできない．現象締出した臓器に保存液を港流させることで時間経過による臓器機能の劣化を防ぎ，さらに機能の維持·向上を目指した臓器濯流装置の研究開発が豚肝臓を用いて行われている1）2）．臓器潜流装置内に設置する臓器保持台について実験的な検証が行われ，有効な保持方法について提案されている3）。また，最適な潜流環境を構築するためには，肝臓の表面付近の比較的太い血管（肝動月凧門脈）に作用する圧力が大きく影響することがこれまでの実験の過程で分かってきた。本研究では臓器保持台に簡略した血管を考慮した豚肝臓モデルを設置し，数値解析を行い，いくつかの異なる肝臓の設置状態について，肝臓内部と血管部分の力学応答について検討した．