加熱法によるパイプ溶接残留応力の非破壊評価（熱流速と残留応力の同時推定と解析的検証）

摘要

加熱法(1) による残留応力計測の基本原理は、次式に基づいている．{Δu} = {u_a}-{u_b} = {u_(thermal)}+{u_(relieved)}(1) ここで，{u_b} および{u_a} は加熱前後の変位、{Δu_} は加熱による変位の変化であり、計測されるのはこの変位である．この計測変位は加熱による熱変位{u_(thermal)} と加熱によるヤング率の変化による解放変位{u_(relieved)} の和である．残留応力計測に関係するのは解放変位であり，熱変位は計測変位から取除く必要がある．前報(1) では，熱流束は既知とし，これから計算で得られた熱変位を計測変位から差引いた解放変位を情報とする方法で加熱法の基本特性と有効性について検討した．しかし，加熱法の実際の適用に当たっては，この方法を用いることは困難である．そこで，本研究では加熱変位を含む実際の計測変位から熱流束と残留応力を同時推定する手法を提案し，それを突合せ溶接されたパイプに適用して，その有効性を検討する．