縦型高速双ロールキャスト法により作製したAl-7％Si合金薄板の圧下率増加によるRD, TD破断伸びの差の解消

摘要

縦型高速双ロールキャスト法（以下，双ロール法と表記）とは，回転する一対の水冷式銅ロール間に金属溶湯を流し込むことで連続した板材を作製する手法である（図1）石本手法の急冷凝固により，組織の微細化や不純物元素の無害化が可能であり，鋳造用合金を展伸材として活用することが期待される．しかし，双ロール法によるA356合金板の鋳造象圧延，焼鈍して作製した薄板材の引張特性において，試験片の荷重軸方向と圧延方向が平行となる試料（以下，RDと表記）と，垂直になる試料（以下TDと表記）の間で破断伸びに差が生じることが問題となっている．本研究では，双ロール法によってAl-Si二元合金板を鋳造後に圧廷焼鈍して作製した薄板材について，引張試晩板断面の組織観察を行うことで，RD, TD破断伸びの差の原因を明らかにし，さらにその結果を踏まえて，A356の基本となるAl-7wt%Si薄板のRD，TD破断伸びの差を解消させることを目的とした。