磁場中での海水の電気分解におけるマイクロバブルの挙動の数値シミュレーション

摘要

海水に磁場を印加し磁場と垂直な方向に通電を行うと、導体である海水にはローレンツ磁気力が働くが、不導体である海水中の油には働かない。この違いを利用して海水から油を分離するMHD油水分離装置が考案されている。この装置では通電の際に、極板での電気分解で塩素と水素の気泡が発生する。これらの気泡は装置内で重力による海水の対流を引き起こし、また気泡が極板に付着して通電を妨げることにより、分離機の効率に影響を与えることが考えられる。しかし、これまで行われてきたMHD油水分離装置に関する理論的研究は気泡を無視して行われてきたため、海水の流れや、分離効率に対する気泡の影響はよくわかっていない。そこで、本研究では磁場中での海水の電気分解における海水と気泡の運動を、電磁気学と流体力学を組み合わせた数値シミュレーションで解析した。計算には有限要素法ソフトウェアCOSMOS METAPHYSICS用いた。