冷蔵庫用冷凍機油の低粘度化技術に関する研究

摘要

省エネルギーの観点から、自動車用を中心として潤滑油の低粘度化が進hでいることは言うまでもないが、冷凍機油においても同様に低粘度化による高効率化が求められている。特に、家庭用冷蔵庫向け冷凍機油においては低粘度化がこれまでに進hでいる。冷蔵庫用冷凍機油は冷蔵庫のレシプロコンプレッサー等の潤滑を担う潤滑油である。冷蔵庫を含む冷凍空調機器の消費電力のうち、大部分はコンプレッサーにおいて消費されるといわれており、冷蔵庫のレシプロコンプレッサーにおいて消費電力を低減する手段として低粘度化が推進されてきた。冷蔵庫用冷凍機油としては、過去にはVG32やVG22の合成エステル油や鉱油が使用されていた。しかし、2000年頃にはVG10程度の冷凍機油が使用されるようになり、その後VG8やVG7といった冷凍機油が主流となった。さらに、2010年代に入ってからはVG5の冷凍機油も使用されるようになり、低粘度化が確実に進められてきた。更なる低粘度油として、VG3の冷凍機油が要求され、合成エステル油を用いることにより一部で成立されたものの、VG3油は引火点低下の問題に加え、信頼性の確保に大きな技術的な障壁を抱えたため、実現できていなかった。