数理細胞モデルからの心筋細胞収縮力を用いた左心室流れ解析

摘要

心臓は収縮と弛緩を繰り返すことで全身に血液を送り出すポンプとしての機能を持っている．拍動による心臓内部の血流を測定することは，これまでMagnetic Resonance Imaging (MRI) やComputed Tomography (CT)，超音波などを用いて行われているが，時間変化する心臓内部の血流を3 次元的に測定することは困難である．心臓の収縮は心筋細胞の収縮·弛緩により引き起こされる．そこで本研究では心臓マルチスケール解析として，全身に血液を送り出す役割を持つことから，特に重要であると考えられる左心室に注目し，皿井[1]らが構築した細胞機能シミュレータ「simBio」と，その上で構築されたモルモットの心筋細胞モデルである「Kyoto モデル」から求めた心筋細胞の収縮力を用いた左心室拍動モデルを構築し，流体·構造連成解析を行うことで左心室流れの解析を行った．