EHD現象を応用したエコノミークラス症候群予防のための脚部圧迫装置の開発

摘要

長距離輸送時に長時間同じ姿勢を継続することにより血液が静脈内などに停滞し発症する静脈血栓症，いわゆるエコノミークラス症候群は，近年発症件数が増加傾向にある．その治療法は従来からの血液凝固を弱める薬を使用した薬物的療法で対処が可能であるが，副作用としてショック状態や，血液凝固異常症の発生など，リスクが高いという問題点があり，治療以前における予防的対処法の普及が求められている．現在その対処法の一つとして挙げられるのが空気式圧迫装置を用いた脚部マッサージによる血液の鬱滞防止方法である．しかしながら，この空気式圧迫装置は周辺機器としてコンプレッサなどが必要となり，振動や騒音の発生，装置の大型化などの問題点がある．そのため使用場所を制限しない簡易的な予防機器の開発が求められている．そこで，この問題点を解消するためにEHD 現象と呼ばれる現象に着目した．