超音波振動切削法を利用したCFRPとアルミニウム合金の高品質重ね穿孔超音波振動が切りくず生成·排出に及ぼす影響

摘要

近年の航空機の機体には軽量化のためにCFRP（炭素繊維強化プラスチック）が多く用いられる傾向にあり，Boeing 787でのCFRPの材料使用の比率は，実に50%にも及hでいる．航空機の機体は，密閉度を高めるため部品単体や組立品に高い精度が要求される．要求される精度を確保するため，部品を重ね穿孔し各種ファスナーで結合する方法がとられてきた．最近はCFRPが大量に採用されていることから，CFRPとアルミニウム合金，又はCFRPとチタン合金との重ね穿孔の機会が多くなっている．技術的には工具摩耗の課題は大きい．強度，硬さのため工具の摩耗形態はアブレシブ型の摩耗となり，工具摩耗が原因で穴品質の劣化を引き起こすため，加工精度を維持しながら穴個数を増加させることが技術の評価項目となる．さらに，加工品質上の問題点として，アルミニウム合金を切削している時に排出される切りくずがCFRPの穴内面を擦っていくことによる穴内面の仕上げ面粗さ，穴の真円度の劣化，並びに穴から排出された切りくずがCFRP表面および穴入り口部を損傷させる．本研究は，超音波振動切削法をCFRPとアルミニウム合金の重ね穿孔に適用して，CFRP穴内面の損傷の少ない高品質な加工方法を開発することを目的としている．本報告は，超音波振動がアルミニウム合金穿孔時の切りくず生成·排出に及ぼす影響を示す．