工作物測定結果に基づくマシニングセンタの精度補償に関する研究（第3報）－5軸制御マシニングセンタの精度補償

摘要

５軸制御マシニングセンタは，複雑な工作物でも１回の段取りで様々な方向からの加工ができるため，多様な製品を効率的に製造する設備として普及している．しかし，５軸制御加工では，制御軸が多数重なり合うことによる誤差の拡大や，回転案内の精度が問題となり，その普及を促進するためには，それらの誤差を小さくするための精度補償方法や加工方法の開発が切に望まれている．特に５軸制御加工での各回転案内の中心位置は，NC データを作成し加工する際の基準となり，この位置の正確性が加工精度に大きな影響を与える．一般には，機械を設置する際にメーカーにより測定され，その値を加工基準位置として継続的に使用している．しかし，その測定は，機械のXYZ軸が直交し回転案内の中心線はXYZ 軸のどれかに平行であり，位置決め誤差も割出し誤差もない理想的な機械を想定して行なわれるため，誤差が生じてしまう．本研究では，マシニングセンタで加工した工作物の工作精度を三次元座標測定機で測定する手法により，機械固有の幾何学的な精度を評価して，精度補償することを目的とし，本報では，５軸制御マシニングセンタの回転案内に提案する手法を適用した結果について報告する．