自励式交流発電機を用いた風力発電装置の周速比一定制御時における無効電力に関する検討

摘要

近年，大容量風力発電装置を中心にメンテナンス性に優れ，信頼性が高い永久磁石同期発電機が用いられている。しかしながら，永久磁石に使用される磁性材料のレアメタルは高価であることや安定調達などの点で問題がある。一方，励磁電源の不要な自励式ブラシレス交流発電機は，商用電源の得られない船舶内や離島での発電装置として利用されており，永久磁石同期発電機と同様な利点を有すると考えられる。筆者らは図1に示すような，自励式交流発電機とサイリスタコンバータ／インバータを用いた風力発電装置について，種々な検討を行っているなど。本システムは大容量風力発電装置を想定し，図示の様に発電機の出力端子と励磁機それぞれに信頼性が高く，大容量化が可能なサイリスタコンバータを設けた構成となっており，これら整流器の制御角α_(Vd)及びα_(EX)の調整による，周速比一定制御について検討をした。サイリスタコンバータを用いる場合，制御角の大幅な調整はシステムの無効電力を大きく変化させることとなるが，こうした無効電力に関する検討は行っていない。ここでは，α_(Vd)のみを調整して周速比一定制御を行った場合（励磁電流一定）とα_(Vd)の制御にα_(EX)の制御を併用して行った周速比一定制御時の無効電力について比較検討を行った。