磁気援用加工法による溶接管内面の溶接ビード除去及び内面の精密仕上げ

摘要

近年，様々な分野で高度クリーン化技術が求められており，クリーンパイプ内面に汚染物の付着や滞留を防止するために超精密表面が要求される．その中に，肉厚が厚いパイプ（厚さ5mm以上）内面の精密仕上げ及び内面に大きい凹凸がある円管内面の精密加工は，従来の磁性粒子を用いた磁気援用加工法では，磁力(加工力)が極めて弱くなるため加工不能に陥り，形状精度の改善も困難になる．厚肉円管内面仕上げに対する新しい高能率·高精度加工法の開発が求められている．筆者らは，このニーズに応えるため「磁性加工ジグを用いた磁気援用加工法」を提案した．磁性粒子のみを利用した場合に比べて数十倍高い磁力（加工力）が得られ，厚肉円管の内面加工が可能となった．さらに，磁性加工ジグの磁石端面に磁性粒子を吸着させ，磁性粒子を介して砥粒に加工作用させる新しい磁性加工ジグ利用法を提案し，肉厚10mmの鋼管内面の精密加工が実現できることを明らかにした．本研究では，溶接ビードを持つ厚肉鋼円管の内面加工及び溶接ビード除去に着目し，新たな研磨装置を製作し，加工実験を行った．磁性加工ジグの磁石先端に磁性粒子を吸着した方法を利用して研磨実験を行い，溶接ビード除去状況，面精度及び形状精度改善効果について検討した．