下向き一様流中に置かれた加熱球まわりの時空間伝熱特性（熱伝達に及ぼすブロッケージ比と乱れの効果を主として）

摘要

ピーク電力の平滑化や熱エネルギー貯蔵の観点から，潜熱蓄·放熱速度の促進と大容量化が求められている．PCM容器として球カプセルは多くの利点があり，また，潜熱蓄·放熱時に必要な単一球まわりの複合対流の時空間伝熱特性を明らかにすることは，工学的に重要である．前報で，潜熱蓄熱とは逆現象（潜熱放熱時の伝熱特性に近い）の一様下向き強制空気流中に置かれた，加熱球まわりの伝熱特性を求めた．すなわち，自然対流による浮力と強制流が対向するブロッケージ比の大きいBR=8.7%（Blockage Ratio; 球断面積/風洞断面積）中に置かれた単一加熱球まわりの流れについて，グラスホフ数一定（Gr=gβd_３ΔT/ν~2=3.3×10~5, d; 球直径）でレイノルズ数(Re=U_md/ν, U_m; 一様流の流速)を変化させ，球まわりの時空間伝熱特性を熱流束計（HFS: micro-foil Heat Flow Sensor）で求めた．これより加熱球まわりには，Re数により(I)カオス的流れ，(II) 2-D定常はく離流れ，(III) 3-D非定常はく離流れの複合対流に特有な3つのパターンが生ずることなどを明らかにした．本研究目的は，上記の伝熱特性に及ぼすブロッケージ比と一様流中の乱れの効果，ならびに2-D定常はく離流れよりカオス流れへの遷移機構を実験的に明らかにすることである．