キャビティリングダウン分光に基づく放射性炭素分析法の植物生理学への応用

摘要

放射性炭素（~(14)C）は長半減期であり天然存在比が低いため、生体・環境中の様々な動態を調べるトレーサーとして有用である。トレーサー応用には、天然存在比程度の高い感度と、高いスループットが同時に要求される。そこで、~(14)C トレーサー応用への適用を念頭に、キャビティリングダウン分光（Cavity Ring-Down Spectroscopy: CRDS）に基づく~(14)C 分析システム（~(14)C-CRDS）の開発を進めている。これまでに、開発中の分析システムを植物生理学分野における植物中~(14)C トレーサー測定に応用することを目指し、光合成により~(14)C 標識した植物を用いた植物中炭素動態評価の実証実験を行ってきた。今回は、開発された~(14)C-CRDS 分析システムの植物中~(14)C トレーサー応用に向けた分析性能の評価として、既存手法である液体シンチレーションカウンター（Liquid Scintillation Counter: LSC）との比較を行った。