ディーゼル燃焼により生成されるスートの潤滑油混入メカニズムの解明

摘要

ディーゼルエンジンの燃焼で生成するPM(Particulate Matter)中のスートは，その一部がシリンダ壁表面の潤滑油に付着しピストンリングで掻き落とされてオイルパンに混入する．潤滑油へのスート混入は潤滑性能を低下させエンジン摩耗とエンジン耐久性低下の原因となるため，混入量が多いほど短い周期での潤滑油交換が必要となる．スートが混入した潤滑油を用いたエンジン摩耗影響の研究例はあるが潤滑油へのスート混入メカニズムに関する研究例はほとhどないため，本研究では燃焼室内で生成されたスートの潤滑油混入メカニズムについて実機を用いて調べた．高速開閉制御可能なピエゾバルブをエンジン側壁面に取り付け，シリンダ壁面に付着した潤滑油をエンジン運転中に毎サイクル同じタイミングで連続採取し，さらに運転終了時のオイルパン中の潤滑油も採取した．これらの潤滑油中にはスートが混入しており，ASTM D893に規定されている試験法でスートを遠心分離し精密天秤でそれぞれの潤滑油に混入するスート量を定量した．