C 重油及びA 重油使用時の船舶から排出されるPM の実船観測

摘要

我が国の大気中微小粒子状物質（PM_(2.5)）の環境基準達成率は近年改善傾向がみられるが、未だ環境基準を達成できていない高濃度測定局が瀬戸内海沿岸部に存在しており、瀬戸内海を航行する船舶の影響等が懸念されている１）。船舶から排出される大気汚染物質（SOx、NOx、NMVOC 及びCO_2）は、海洋汚染防止条約（MARPOL73/78 条約）附属書VI で規制されており、2020 年1 月1 日から、特別海域を除く世界の全海域で、燃料中の硫黄分が0.50%以下となった。この規制強化に伴う燃料転換により、船舶から排出される粒子状物質（PM）の特性は大きく変化すると予想され、瀬戸内海周辺のPM_(2.5) 濃度も低下する可能性がある。本研究では、燃料転換の前後で、船舶から排出されるPM を実船観測で採取し、PM の排出実態及び主要成分の特徴と燃料転換に伴う変化を調べた。