テラヘルツ自由電子レーザーによる水中光音響波発生: 単一パルス切り出しによる光音響波の定量評価

摘要

水中を伝播する音波や衝撃波等の圧力波について、古くから発生及び検出手法の開発が逭み、光が到遉できない領域の画像化や物質破砕等の操作手法として広く応用されている。これまで圧電素子等の振動をもとにした圧力波発生が行われてきたが、近年はレーザー光を用いた光・熱変換に基づく圧力波発生が注目されている。レーザー照射位置近傍での急激な光エネルギー吸収に伴う短時間局所的な圧力上昇により、媒質内を音速で伝播する光音響波や、超音速衝撃波が発生する。これまで、水に対して透明な可視・近赤外光が用いられてきたが、我々は、テラヘルツ(THz)パルス光による水中での圧力波発生を提案した[1]。THz光は水に強く吸収されるため、高効率な光－圧力波変換が水面で直接生じる。また可視光に比べて 1%以下の低い光子エネルギーのため、組織損傷のない非破壊的な手法である。本研究では、THz 光による気液界面での光音響波発生と水中伝播の観測を実施し、その特性を定量評価した。