支援方法に起因する操作主体感がフローに与える影響

摘要

近年，コンピュータがヒトの課題を支援するようなシステムは一般的になりつつあり，技術の向上や広い分野における高度なインターフェースの開発によってさらに普及が進むと考えられる．コンピュータによる支援はマウスのポインティング支援システムのような低度な支援から自動化などの高度な支援までさまざまである[2].本研究におけるコンピュータによる支援とは，自動車の運転支援などのように，ヒトだけではできない課題を可能にするか，課題の労力を減少させるようなコンピュータの介入を指す．ヒトがコンピュータから支援を受けて課題に取り組むとき，ヒトは必ずしも行動を制御しているわけではなく，コンピュータに制御される部分が生まれる．人による制御の程度を下げるようなコンピュータの支援は，使用者から自分自身が道具を操作しているという感覚を失わせることがある．これは，ゲーム機器などでも重要であるほか，オートパイロットなどの例でも問題となっている．この，操作しているのは自分自身であるという感覚を操作主体感（Sense of Agency）と呼ぶ．操作主体感の低下は，単純な操作のしやすさではなく，製品操作に対するモチベーションや楽しさ，集中度を低下させることが考えられる．