小石川植物園西洋温室の現況把握及び変遷に関する研究:実測調査と資料調査を通して

摘要

小石川植物園は、1684年徳川幕府が小石川に設けた薬園が起源である。現在は、植物学の教育・研究を目的として東京大学大学院理学系研究科付属の植物園となり、西洋温室は一般に公開されている。西洋温室における育成植物の特徴として、椰子植物・洋ランを主に扱っていることが挙げられる。西洋温室は全体的に著しく老朽化している状態である。新たな温室の具体的な計画も進行中であり、現存する温室の解体が予定されている。今回、東京大学キャンパス計画室及び施設部から調査の機会が与えられ、今回の調査に至った。これまで、我国の温室や植物園に関する計画的な考察や分析は見られるものの、意匠・構法的な考察や分析に関する研究は必ずしも十分とはいえない。そこで、本研究では、西洋温室の解体にさきがけ、その変遷を辿り、実測調査に基づく図面を作成・記録し、図面とヒアリングをもとに西洋温室の特徴を明らかにすることを目的とする。