オシオス･ルカス修道院聖堂におけるキリスト教絵画による空間構成　その３:キリスト教絵画の主題及び配置

摘要

ビザンティン帝国の首都コンスタンティヌポリスは、古代ギリシアのポリス、ビザンティオンが発祥であり、そこへコンスタンティヌス帝がローマ帝国の首都を建設したことに由来する。帝国の長い歴史を通じて、その中心となったのはキリスト教化されたギリシア人であり、公用語も当初のラテン語からギリシア語に変わった。ビザンティン帝国は古代のローマ帝国を継承した国家であり、国全体がキリスト教化されたために建築も絵画も全て宗教に捧げられたわけだが、ビザンティンの元の土壌は古代ギリシアである。現在のギリシアにあってビザンティン聖堂の代表作として著名な聖堂も、その歴史をふまえてみれば、首都コンスタンティヌポリスの影響下にあったとはいえ、あくまでもギリシア人の地において育まれたビザンティン聖堂であるとしてそれらを位置付け、その空間を検討することにも意義があるだろう。