RC 造ト形柱梁接合部の構造性能に接合部補強筋及び変動軸力が及ぼす影響その4 実験パラメータの影響分析及び強度低下率の検討

摘要

負側の柱梁強度比が1.0 に近いト形柱梁接合部部分架構を対象に，接合部補強比及び高変動軸力が架構の耐力及び破壊性状に及ぼす影響について検討し，以下の知見が得られた。1) 接合部補強比の増大による架構耐力の上昇及び接合部変形の抑制効果を確認した。また，架構耐力の上昇においてその補強効果は変動軸力の有無により異なった。一定軸力下の場合は接合部補強比60%で耐力が頭打ちとなり梁曲げ降伏耐力計算値に達しなかったのに対し，高層建物を想定した変動軸力が作用する場合は接合部補強比40%で計算耐力に達した。2) 本実験で想定した高変動軸力において接合部曲げ降伏及び軸崩壊の発生防止条件は次の通りである。柱梁強度比1.2 の場合，接合部補強比0.4 程度で両者が防止可能であり，柱梁強度比1.5 の場合，補強比0.2~0.4 の範囲内で防止できる。なお軸崩壊発生はいずれも層間変形角3%以降であった。3) 接合部終局モーメントMj より換算した強度低下率は実験結果を精度良く評価できたのに対し，保有水平耐力計算規準式のβj は変動軸力≒0 試験体において危険側の評価となるものが数多く存在した。今後の課題として，βjで想定している以外の変形機構においても実用的に簡略化された式へと展開することが考えられる。