「音を読む体」から詩とユニゾンで響く「拡張音響体」を生成する声

摘要

詩を音読することで、発声する身体が多次元的に広がる「拡張音響体」になり、詩の音世界と一体化した「詩の音楽とのユニゾン」とでも呼べる身体感覚を生む空間音楽を創作した。多重の反響音と加速度を伴った音の空間移動や声の自動追跡などの技術を応用することで、独唱•斉唱•合唱の枠を超えた、声の新たな音響体験について論じる。また、音響設計では欠陥とされる音響特異現象や、世界各地のサゥンドマークなどを、声のパフォーマンスの音場に生かす可能性についても述べる。残響を第2の声として、見かけの音源の幅や音に包まれた感じを空間音響により更に拡張し、「音を読む体」が音響の詩になるにはどのような工夫が必要か探究した。