形状記憶合金ワイヤにより駆動されるモーフィング翼の開発及び風洞試験

摘要

国内の大手航空会社においては，航空事業営業費用に占める燃油費の割合は約1/4ないしは1/5であり，金額にして約千億のオーダーである.従って、1％の燃油費が節約できれば、数十億円規模の節約ができ，航空会社の経営おいて，燃油費の節約は重要な意味を持つ[1,2].航空機の燃料の消費量は揚抗比と比例の関係にあり，この揚抗比を巡航時2-3％程度改善する手法として，バリアブルキャンバ翼が提案されている[3].バリアブルキャンバ翼は，機体の重量や重量分布の変化に伴いキャンバを変化させることができる翼であり，近年，大型航空機に実装されている[4,5].ここでの動翼面は剛であり，舵角を切る際に流れに不連続的な変形となる.また，複雑で整備性が良いとは言い難い油圧アクチユエータ機構により駆動されている.