居住者主体の住戸改修の実態:民間賃貸住宅における居住者主体の住戸改修に関する研究その1

摘要

日本の住宅政策は量的不足の解消から水準問題へと移行したが、その後も着実に住宅ストックを積み重ねている。また、賃貸住宅では「原状回復義務」が障壁となり居住者の改修への要求や関与が抑制されている。所有者にとって建物メンテナンス費用は負担である上、建物老朽化や居住ニーズの変化により賃貸経営が困難になることも予想され、経営意欲の減少や賃貸住宅市湯の停滞も懸念される。住み手の住環境づくりへの主体的関与の必要性•有意性が認識されている今日、賃貸住宅においてもストック更新とライフスタイルの変化への対応を、住み手の主体的な改修により促進するような仕組みの検討が求められる。本稿では、民間賃貸住宅における居住者主体の住戸改修の実態を明らかにすることを目的とする。