ETFEフィルムを用いたばねストラット式張力膜構造の風荷重時の構造挙動に関する研究:(その1)柔模型を用いた風洞実験の実施

摘要

低強度、低剛性、大きなクリープ歪の発生等の材料特性を有するETFE（エチレンテトラフルォロエチレン共重合樹脂）フィルムは、応力弛緩の生じ易さ故、建築物として適用される構造形式は空気膜構造が一般的である（図1）。近年海外においてはプールやスタジアム屋根等、多くの実施例が見られるが、空気膜構造での適用による維持管理ゃランニングコスト、環境等に関わる課題が常に存在する。既報では、常時内圧の代わりにばね内蔵のストラットによってETFEを突き上げ、経時後も膜応力を維持できる「ばねストラット式張力膜構造（図2)」への適用が提案され、経時後の膜応力の維持、付加荷重時の抵抗等に関して実験と解析にて実証されており、特に低剛性ばねを用いた際の有効性の確認と共に、以下に示す検討課題が指摘されている。一つは、支配荷重となる「風荷重時の影響」である。低剛性のETFEと低剛性のばね材のハイブリッド構造であることを踏まえると、風荷重時の動的挙動の把握は必要と考えられる。もう一つはETFEを突き上げる際の「ETFEの適切な応力設定」である。ETFEの応力弛緩の生じ易さを踏まえると低く初期応力を設定することが望ましいと考える。