PCで制御できる玩具ブロックを用いた居住環境学習教材の開発に関する研究（その1 環境モニタリングと環境制御装置の製作）

摘要

小学校・中学校・高校における住環境教育は必ずしも豊富とはいえない状況にあり、建築系大学生のような建築を専門に学ぶ学生以外の学生への住まい方教育の普及は重要なことと考えられる。教科書、副読本などを通して環境教育を行うことは可能であるが、身近な居住環境が対象である以上、体感・体験を通して理解してもらう実験学習プログラムが望まれる。玩具ブロックを使用して住宅熱性能を実験学習することは実験条件や形状の変化・制御が容易である。また、ほぼ同質の模型が、特別な訓練を受けていない生徒・児童であっても作成できることも利点である。筆者らはパソコンによって、窓の開閉や換気扇の稼働などが制御できる玩具ブロック（レゴマインドストームLEGOMINDSTORMS）を用いて建築模型を作成することとする。レゴマインドストームはデンマークに本社のある有名なブロックメーカーであるLEGO社とMIT（米国マサチューセッツ工科大学）が共同開発し、1998年に発表したロボティクスの先駆的な製品である１）。開発者の一人であるMITのパパートPapaert博士は、「知識は理解の一部に過ぎない、真の理解は手を使って経験することから生まれる」という信念のもと開発を行った１）。哲学者Ryleは知識を内容知(knowing that)と方法知(knowing how）に弁別したが２)、マインドストームは、方法知と内容知を同時に獲得することが可能である。