ジャンカルロ・デ・カルロの都市・建築思想に関する一考察:２つの「ウルビノ計画」を通して

摘要

イタリアの建築家ジャンカルロ・デ・カルロ（Giancarlo DeCarlo,1919-2005）は，1964 年に発表した「ウルビノ計画」が詳細な調査をもとにした計画として世界から評価されたことで知られる。デ・カルロは，その30 年後の1994 年に２回目のウルビノ都市基本計画(以下「新ウルビノ計画1994」)を発表している。しかし，「ウルビノ計画」における評価は, 主に1964年の都市計画(以下「ウルビノ計画1964」)と，それを基に計画された建築設計に留まり，「新ウルビノ計画1994」に関しては殆ど触れられていない。また，彼の思想に触れる既往論考は少ない。本稿の目的は，２つの「ウルビノ計画」の内容が詳説された以下の①と②の１次資料において，調査内容と計画方針の比較により見出された当計画の内実を明らかにし，彼の遺した多くの言説のうちに，彼の都市・建築思想の一端を読みとることにある。