1920 年代の日本における劇場建築受容についての試論-劇場建築研究会の建築運動的性格

摘要

近代日本が西洋に建築を学ぶとき、技術や芸術としての建築のあり方にとどまらず、建築を取り巻く諸制度や社会システム、生活スタイルや社会環境など、より広義の建築文化の受容が行われたと言える。とりわけ西洋に特徴的なビルディングタイプは、計画や意匠の理解以上に、その建築が必要とされる社会背景の理解が重要である。本稿は、そうしたビルディングタイプのうち劇場に焦点をあて、1920 年代の日本の建築界においてその受容がいかに行われたかを跡づけるものである。