栃木県鹿沼市医王寺講堂に関する建築年代の推考近世地方都市における真言宗豊山派の興隆について その４

摘要

本調査では、医王寺に所在する史料から、寛永11 年の火災については、明治期の創作であることを解明した。それにより医王寺に残る古代から中世にかけての仏像などの残存状況は納得がいくこととなる。ついで、講堂の建築年代であるが、内陣の改変は当初として判断し、外観の簡素な舟肘木などを考慮すると正保は考えづらい。また類例からは、木瓜型の発達した形態がみられ、貞享３年の同寺大師堂と比しても時代的に下る。また類例を見ると西明寺本堂や医王寺金堂はやや古式な面があり、元禄３年が妥当といえる。