医療スタッフを対象とした新たな追跡調査手法の試み: 精神科病院の看護拠点のあり方に関する研究　その3

摘要

看護拠点（スタッフステーションとその周りを指す、以下同）のあり方は医療施設計画研究の大きなテーマの一つである。一般科入院病棟の看護拠点は豊富な研究蓄積により、常にその時代の医療と患者像に合わせて進化している。精神科医療の場合は、患者とのコミュニケーションは看護の特徴であり、身体疾患と異なる対応を必要とするこのような看護行為が治療効果を大きく左右する。しかし、「隔離」目的の名残でもある、患者に閉じている看護拠点が踏襲されることが多い。本研究は効率的な治療と看護が行える治癒空間として精神科入院病棟を位置づけ、患者とのコミュニケーションを促す看護拠点のあり方を学問的問いとしている。既に既報において、児童思春期病棟と成人病棟における看護スタッフの居場所および看護行為の詳細を報告した。