緩和ケア病棟研究: 医療進歩と終末期医療の理念変化による空間への影響

摘要

本研究は、プランニングだけの話に留まらず、制度・プログラム・空間などあらゆる視点で見たときに導き出される、新たな緩和ケア病棟計画を模索するものである。1973年に淀川キリスト教病院でホスピスケアが開始されてから約30年、日本の緩和医療は定着期に入ったと言える。ようやく緩和医療というものが認識され始め、今では急激な勢いで施設数が増えている。しかし、認識され始めたといっても施設数は海外に比べるととても少なく、普及と言えるほどの状況ではない。定着期に入りこれからも施設が増えていくことを考えると、今やるべきことは改修・新築に向けて病棟計画を研究することであり、これまで模索的に建てられてきた病棟の問題点や不具合を洗い出し、今後の病棟計画に生かすことではないだろうか。病棟としてまだまだ成熟してるとは言えない緩和ケア病棟を研究する必要は多いにあると思われる。